むずかしいことをやさしく、 やさしいことをふかく[井上靖]
やさしいはむずかしく、むずかしいはやさしいのです。
やめるべき2つのことを話します。
たくさんの本を読み、熱心に学んでいる人は、
豊富な知識や語彙力を持っています。
しかし、それが逆効果になることがあります。
相手の人が理解できるかを意識してください。
知らない言葉を並べても相手には伝わりません。
コミュニケーションの目的は、相手に理解してもらうことです。
その1:止めてください、横文字や専門用語を使う
「インバウンド」
一般には、外国人観光客の需要を指します。
しかし、テレアポ業界では違います。
インバウンドは、お客様からの苦情の電話、
アウトバウンドはお客様への電話を意味します。
「ワン・オン・ワン(one-on-one)」
1対1で話すことと何が違うかと聞かれて答えられない人がいました。
アジェンダ、コンセプト、イノベーション、DXなど
学んだ言葉を使いたくなりがちです。
相手の知識、経験、業種を理解して使ってください。
その2:止めてください、故事を使う、四文字熟語を使う
「天網恢恢疎にして漏らさず」
天が悪い人を見つけ出すために張り巡した網の目は粗い、
悪人は誰一人として逃すことはないと云うことです。
しかし、知らない人は「エッ、カイカイ?」です。
「水戸黄門」の中の台詞「お天道様はみてらっしゃる!」
の方が理解できる人の方が多いかもしれません。
「画竜点睛を欠く」
大事な仕上げ、ほんの少し手を加えることが大切と云うことです。
「君の仕事は、画竜点睛を欠く」
「おしい、あと一歩」の方が響きませんか。
「啐啄同時」
卵の殻をヒナが内側からつつくのと同時に、親鳥が外からつつくことを云います。
「教える側と学ぶ側の自発性が一致した時、初めて効果が出る」
の方が理解できる人が多いかもしれません。
「無謬性という誤謬」
間違いが無いということが、間違っていると云うことです。
「失敗しない人はいない、失敗が学び、失敗をすることを恐れるな」
の方がが理解できる人が多いかもしれません。
年配の経営者や管理者に多く見られます。
知識をひけらかしているだけ、知識の豊富さを自慢しているだけ、
自己満足に過ぎません。
相手が聞きたいことを、相手がわかる言葉で話すこと!
相手に合わせて使い分けをしてください。
8割は誰でもわかるやさしい言葉で話し、
その中に1つ2つ、むずかしい言葉を入れる!
話し方のテクニックです。
「〇〇〇って何ですか」と勇気を持って聞く人がいます。
素晴らしいことです。
それに対して笑顔で対応する人と、ムッとする人がいます。
不機嫌になる人は、、、カッコ悪い!
知識は本から学べます。
しかし、知恵は経験からしか学べません。
知識や語彙力が高くない職人さんの一言が心に響きます。
「客が美味しそうにしているのがやりがいよ」
「わかんねえけど、おもしろいのとよ」
知って得する、知らないと損をする!すぐに役立つ相手に合った「伝え方」のコツ!
<こんな経験をしました>
昔、ある装置の取扱説明書を書く機会がありました。
・高度な技術で作られています。
・使い方を間違うと危険が伴います。
・使う方は専門家ではありません。
装置の機構と危険性を分かるように説明、、むずかしい!
9回の書き直しを命じられ、10回目でようやくOK(笑)です。
「素人に分かるように説明するのは、
120%装置を理解していてもむずかしい!」
着手する前に言われた言葉が身に沁みました(汗)。
・高度で複雑な装置
・使う方も高度な力量を持った人(専門家)
この装置の取扱説明書はむずかしくありません。
確かにたくさんの知識は必要です。
しかし、書くときは学んだ知識を書けばよいだけです。
むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、
おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでゆかいに(井上靖)
こんなサービスもあります。